―― ザワザワザワ……
不意に、低い音が聞こえた。
小さな生き物が大量に這い回るような、不気味で不快な音が鼓膜をくすぐる。
歯が浮くような嫌な音が四方八方から聞こえてきて、不安感もザワザワ高まった。
見えもしない周囲をキョロキョロ見回しながら、あたしは怯えた声を出す。
「これ、なんの音? この異形、なにしてるの?」
「わからぬ。だが、どうも嫌な予感が……」
「うおあぁ!?」
「なにマロさん!? 変な声ださないで!」
この状況で結界担当者にそんな声だされたら、すっごい心配なんですけど!
お願いだから、『結界が破壊されている』っぽい発言なんてゴメンだからね!?
「け、結界が……食われかけているでおじゃる!」
「なにそれ――――!」
食うの!? 食っちゃうの!? 結界食っちゃうの!?
破壊される発言よりよっぽど衝撃度高いじゃん!
この番犬異形ってば、結界食べるなんて好き嫌い無さすぎでしょ!
坂本さんちのビーグルは、ペデ◯グリーチャムの缶タイプしか絶対食べない偏食なのに!
「おそらく水晶の力を取り込むように、結界の力も取り込んでおるのじゃ」
「この結界のエネルギー純度の高さに、異形が惹かれたのでしょう。さすがは端境当主様の力量でございます」
「あ、ありがとうでおじゃる。今後も精いっぱい、精進するでおじゃる」
「ノンキにおじゃってる場合じゃないってば! なんとかしてマロさん!」
結界が食われ尽くされたら、あたしたち、生身の体で外へ放り出されちゃう。
それって、宇宙空間に水着姿で飛び出すレベルの危機的状況じゃないですか!? 即死確定!?
「補修とかできない!? パテ塗りみたいな感じで!」
「補修した分、食われるだけでおじゃる。相手にどんどんエサを与えているようなものでおじゃるよ」
「そんな出血大サービス、いらないよー!」
不意に、低い音が聞こえた。
小さな生き物が大量に這い回るような、不気味で不快な音が鼓膜をくすぐる。
歯が浮くような嫌な音が四方八方から聞こえてきて、不安感もザワザワ高まった。
見えもしない周囲をキョロキョロ見回しながら、あたしは怯えた声を出す。
「これ、なんの音? この異形、なにしてるの?」
「わからぬ。だが、どうも嫌な予感が……」
「うおあぁ!?」
「なにマロさん!? 変な声ださないで!」
この状況で結界担当者にそんな声だされたら、すっごい心配なんですけど!
お願いだから、『結界が破壊されている』っぽい発言なんてゴメンだからね!?
「け、結界が……食われかけているでおじゃる!」
「なにそれ――――!」
食うの!? 食っちゃうの!? 結界食っちゃうの!?
破壊される発言よりよっぽど衝撃度高いじゃん!
この番犬異形ってば、結界食べるなんて好き嫌い無さすぎでしょ!
坂本さんちのビーグルは、ペデ◯グリーチャムの缶タイプしか絶対食べない偏食なのに!
「おそらく水晶の力を取り込むように、結界の力も取り込んでおるのじゃ」
「この結界のエネルギー純度の高さに、異形が惹かれたのでしょう。さすがは端境当主様の力量でございます」
「あ、ありがとうでおじゃる。今後も精いっぱい、精進するでおじゃる」
「ノンキにおじゃってる場合じゃないってば! なんとかしてマロさん!」
結界が食われ尽くされたら、あたしたち、生身の体で外へ放り出されちゃう。
それって、宇宙空間に水着姿で飛び出すレベルの危機的状況じゃないですか!? 即死確定!?
「補修とかできない!? パテ塗りみたいな感じで!」
「補修した分、食われるだけでおじゃる。相手にどんどんエサを与えているようなものでおじゃるよ」
「そんな出血大サービス、いらないよー!」


