―― ウオォォォ――――ン!
黒い霧の雄叫びが響く。
奪い取った水晶を胸に抱えて、立ち去ろうと背を向けていた水園さんの体がビクッと震えた。
弓なりの体勢になって硬直して、まるで感電した魚みたいにスーッと水底に横たわり、そのままピクリとも動かなくなってしまった。
「ああ、そんな……水園が死……!」
クレーターさんは、いまにも失神しそうなほど悲愴な顔をして、結界の壁に爪を立てている。
「落ち着け、小浮気。娘はまだ死んではおらぬ。おそらく気を失っておるだけじゃ」
やっぱりあんな薄い結界じゃ、衝撃波を防ぎきれなかったんだ。
倒れたまま微動だにしない水園さんの様子を窺うように、黒い霧がユルユルと近づいて行く。
たぶん、死んだかどうか確認しようとしているんだ。
まだ生きているとわかったら、今度こそトドメを刺されてしまうかもしれない!
「絹糸、水園さんを助けにいかないと!」
「うむ。行くぞ!」
絹糸が急いで水園さんの元へと移動し始めた。
途端に、あたしたちを警戒していたもう一方の黒霧が、こっちに向かって突撃してくる。
うわ、また体当たりされるぅ……! と思って身構えた瞬間、とつぜん黒霧がアメーバ状に広がった。
そして結界ごと、あたしたちをガバッと覆い尽くしてしまう。
「なになに!? こいつ、なにするつもりなの!?」
「暗くてなにも見えませんわ!」
「ええい、水園が見えんではないか! この異形め! 退け!」
すっかり薄暗くなってしまった空間で、それぞれが動揺している。
視界が閉ざされてしまった状況じゃ、絹糸も身動きできない。
ああ、もう! こんな所で足止め食らってる場合じゃないってのに!
こら番犬、とっとと離れろ! ハウス!
黒い霧の雄叫びが響く。
奪い取った水晶を胸に抱えて、立ち去ろうと背を向けていた水園さんの体がビクッと震えた。
弓なりの体勢になって硬直して、まるで感電した魚みたいにスーッと水底に横たわり、そのままピクリとも動かなくなってしまった。
「ああ、そんな……水園が死……!」
クレーターさんは、いまにも失神しそうなほど悲愴な顔をして、結界の壁に爪を立てている。
「落ち着け、小浮気。娘はまだ死んではおらぬ。おそらく気を失っておるだけじゃ」
やっぱりあんな薄い結界じゃ、衝撃波を防ぎきれなかったんだ。
倒れたまま微動だにしない水園さんの様子を窺うように、黒い霧がユルユルと近づいて行く。
たぶん、死んだかどうか確認しようとしているんだ。
まだ生きているとわかったら、今度こそトドメを刺されてしまうかもしれない!
「絹糸、水園さんを助けにいかないと!」
「うむ。行くぞ!」
絹糸が急いで水園さんの元へと移動し始めた。
途端に、あたしたちを警戒していたもう一方の黒霧が、こっちに向かって突撃してくる。
うわ、また体当たりされるぅ……! と思って身構えた瞬間、とつぜん黒霧がアメーバ状に広がった。
そして結界ごと、あたしたちをガバッと覆い尽くしてしまう。
「なになに!? こいつ、なにするつもりなの!?」
「暗くてなにも見えませんわ!」
「ええい、水園が見えんではないか! この異形め! 退け!」
すっかり薄暗くなってしまった空間で、それぞれが動揺している。
視界が閉ざされてしまった状況じゃ、絹糸も身動きできない。
ああ、もう! こんな所で足止め食らってる場合じゃないってのに!
こら番犬、とっとと離れろ! ハウス!


