しなやかな細い腕がスッと伸びる様は、まるで命を吹き込まれた美しい彫刻が動いているよう。
そして彼女の長い指先が、水晶に向かって……
「……え?」
あたしは目をパチパチ瞬かせながら、ゴクッとノドを鳴らした。
ちょ、あの、水園さん? ねえ、あなたまさか……
いや、まさかじゃなくて確実に、水晶に向かって突撃してらっしゃいませんか!?
「水園! やめなさい!」
「水園さん! それ取っちゃだめー!」
あたしとクレーターさんは、同時に叫んだ。
なんと水園さんが、異形の隙をついて水晶に近づき、そっと手を伸ばしている。
ダメダメダメ! それに触っちゃ絶対、面倒くさいことにな……!
「水園―――――!」
クレーターさんが悲鳴をあげるのと、水園さんの白い手が水晶の塊りを水底から引き千切るのと、同時だった。
あたしも頭を抱えて声にならない悲鳴をあげる。
……やっちゃった! しかも、けっこう大胆に根っこからブッチリとー!
どうしよう! 番犬の目の前のお皿から、ペディ◯リーチャムのお高い缶のヤツを持ち去ってしまったら……!
―― グオオオォォ―――ッ!
案の定、黒い霧がザワザワと蠢きながら、すごい雄叫びを発した。
水全体が振動して、その衝撃があたしの指先の皮膚をチリチリと痺れさせている。
え!? なんで!? 結界の中にいるのに、なんで余波がここまで届いているの!?
「麻呂の結界を、余波がわずかに通り抜けているでおじゃる!」
マロさんの声に、みんなの顔がサッと青ざめた。
「だってマロさんの結界は完全無欠じゃん! 鉄壁の防御でしょ!?」
「ここは『異界』なのだと、何度も言うたであろうが! あちらの常識は通用せんわい!」
「そんな! マロさんの結界でも防御しきれないなんて、本気で攻撃されたらどうなっちゃうの!?」
ひえぇ! やっぱり未知の異形と対戦なんかするもんじゃない!
……ちょっと待て! マロさんの結界でも、相手の攻撃を完全にブロックできないんだとしたら……
あんなパーソナルな結界でしか守られていない、水園さんの身は!?
そして彼女の長い指先が、水晶に向かって……
「……え?」
あたしは目をパチパチ瞬かせながら、ゴクッとノドを鳴らした。
ちょ、あの、水園さん? ねえ、あなたまさか……
いや、まさかじゃなくて確実に、水晶に向かって突撃してらっしゃいませんか!?
「水園! やめなさい!」
「水園さん! それ取っちゃだめー!」
あたしとクレーターさんは、同時に叫んだ。
なんと水園さんが、異形の隙をついて水晶に近づき、そっと手を伸ばしている。
ダメダメダメ! それに触っちゃ絶対、面倒くさいことにな……!
「水園―――――!」
クレーターさんが悲鳴をあげるのと、水園さんの白い手が水晶の塊りを水底から引き千切るのと、同時だった。
あたしも頭を抱えて声にならない悲鳴をあげる。
……やっちゃった! しかも、けっこう大胆に根っこからブッチリとー!
どうしよう! 番犬の目の前のお皿から、ペディ◯リーチャムのお高い缶のヤツを持ち去ってしまったら……!
―― グオオオォォ―――ッ!
案の定、黒い霧がザワザワと蠢きながら、すごい雄叫びを発した。
水全体が振動して、その衝撃があたしの指先の皮膚をチリチリと痺れさせている。
え!? なんで!? 結界の中にいるのに、なんで余波がここまで届いているの!?
「麻呂の結界を、余波がわずかに通り抜けているでおじゃる!」
マロさんの声に、みんなの顔がサッと青ざめた。
「だってマロさんの結界は完全無欠じゃん! 鉄壁の防御でしょ!?」
「ここは『異界』なのだと、何度も言うたであろうが! あちらの常識は通用せんわい!」
「そんな! マロさんの結界でも防御しきれないなんて、本気で攻撃されたらどうなっちゃうの!?」
ひえぇ! やっぱり未知の異形と対戦なんかするもんじゃない!
……ちょっと待て! マロさんの結界でも、相手の攻撃を完全にブロックできないんだとしたら……
あんなパーソナルな結界でしか守られていない、水園さんの身は!?


