水晶が放つ薄明りの中に、真っ白な衣装を身にまとった人の姿が、朧に浮かびあがっていた。
揺らめく光に照らされたその顔は、この世のものとは思えないほど美しい。
なんだか、妖しい幻想を見ているみたいだ。
こんな場所で、生身の美しい人間の姿を見ること自体が不可思議で、夢でも見ているようなボーッとした気分に……。
「水園―――――!」
クレーターさんの叫び声に、あたしの頭は一気に覚醒した。
……そうだ、あれ、水園さんじゃん!
ということは門川君も、そこら辺にいるんじゃないか!? ぼーっと見惚れてる場合じゃない!
我に返ったあたしは、クレーターさんの隣で肩を並べて一緒に叫びだした。
「門川君! 門川君、どこにいるの!?」
「水園! 私だよ水園!」
「門川君ー! あたしの声が聞こえたら返事して門川君ー!」
「水園ー! こっちを向きなさい水園! 返事をしなさい水園ー!」
「って、さっきからクレーターさんうるさい! 耳元でギャーギャー騒がないでよ鼓膜破れる!」
「お前こそ少し黙れ! お前のガサツな怒鳴り声のせいで、私の声が水園に届かぬだろうが!」
「ふたりとも、やかましいわ! 手狭な結界の中で張り合うでない!」
ここでどんなにわめき散らしても、どうやら水園さんには、まったく聞こえていないらしい。
水園さんは水中を漂う人魚のように、ふわふわユラユラと移動している。
その全身が極薄の結界に包まれているのが、ぼんやりと見えた。
あれはきっと、宝物庫のアイテムのひとつなんだろう。じゃあやっぱりチョロまかしてたんだ。
「水園、気をつけなさい! 近くに異形がいるのだ!」
結界の壁をバンバン叩きながら、クレーターさんが必死に叫んでいる。
でも水園さんには当然、聞こえない。彼女は相変わらず人魚みたいに、ふわふわと漂い続けている。
本当に人魚みたいだ。体全体をしなやかに動かして、自分の望む通りに泳いでいるのが伝わってくる。
揺らめく光に照らされたその顔は、この世のものとは思えないほど美しい。
なんだか、妖しい幻想を見ているみたいだ。
こんな場所で、生身の美しい人間の姿を見ること自体が不可思議で、夢でも見ているようなボーッとした気分に……。
「水園―――――!」
クレーターさんの叫び声に、あたしの頭は一気に覚醒した。
……そうだ、あれ、水園さんじゃん!
ということは門川君も、そこら辺にいるんじゃないか!? ぼーっと見惚れてる場合じゃない!
我に返ったあたしは、クレーターさんの隣で肩を並べて一緒に叫びだした。
「門川君! 門川君、どこにいるの!?」
「水園! 私だよ水園!」
「門川君ー! あたしの声が聞こえたら返事して門川君ー!」
「水園ー! こっちを向きなさい水園! 返事をしなさい水園ー!」
「って、さっきからクレーターさんうるさい! 耳元でギャーギャー騒がないでよ鼓膜破れる!」
「お前こそ少し黙れ! お前のガサツな怒鳴り声のせいで、私の声が水園に届かぬだろうが!」
「ふたりとも、やかましいわ! 手狭な結界の中で張り合うでない!」
ここでどんなにわめき散らしても、どうやら水園さんには、まったく聞こえていないらしい。
水園さんは水中を漂う人魚のように、ふわふわユラユラと移動している。
その全身が極薄の結界に包まれているのが、ぼんやりと見えた。
あれはきっと、宝物庫のアイテムのひとつなんだろう。じゃあやっぱりチョロまかしてたんだ。
「水園、気をつけなさい! 近くに異形がいるのだ!」
結界の壁をバンバン叩きながら、クレーターさんが必死に叫んでいる。
でも水園さんには当然、聞こえない。彼女は相変わらず人魚みたいに、ふわふわと漂い続けている。
本当に人魚みたいだ。体全体をしなやかに動かして、自分の望む通りに泳いでいるのが伝わってくる。


