薄暗い宝物庫の中で、無数の宝物が水晶の体を突き破って飛び出す。


 大小さまざまの宝物は、まるで噴水のように天高く噴き出した。


 衝撃を食らった成重の体が、血を吹いて仰向けにドサリと倒れる。


 そしてその身を覆うように、宝物が礫となってバラバラと降った。


 ……水晶の、千切れた四肢と共に。


『水……!』


 四つん這いになって手を伸ばした小浮気の顔と手に、成重の血と、僅かばかり残った水晶の血が、ビシャリと飛んだ。


 まるで時が止まったように、そのまま父親は動かない。


 息すらできず、自分の手を染めた血と、無数の宝物と、娘の残骸を見つめている。


 呆けた目の虹彩が、徐々に揺れ動いて、そして彼は、震えるノドで弱々しく息を吸い込んで……


 そして……



『……うわあああぁぁーーー!!』