『いえ、水晶殿。地上も水底も、なんの違いもありませんよ』
成重は汗ばんだ顔で微笑みながら、ゆっくりと首を横に振って答えた。
『どちらの世界であっても、労働は尊いものです。大切な物の価値は、私とあなたの間でなにも変わりません』
本心からそう言えた成重の清々しい笑顔を、水晶はポカンと見上げている。
その頬が、徐々にほんのり桜色に染まっていった。
やがて彼女は花のように恥じらいながら、花よりも可憐に笑う。
『そうなのですか? あぁ、良かった!』
その満面の笑みに、成重の胸がギュウッと苦しくなった。
この痛みが、熱さが、もどかしくてたまらない。
不思議なほどに切なくて、どうしようもないほど幸せで、こんな気持ちは生まれて初めてだ。
これは……恋情。
自分は、水晶に恋をしている。
なんの希望も光もなかった人生の中で、やっと見つけた。
無色透明な、汚れのない澄んだ魂を。
その存在を通して、自分はようやく、世界の本当の姿を垣間見ることが叶うのだ。
水晶が『素晴らしい』と言った世界が、きっと自分にも見えるのだ。
奥底から湧き立つ感情を抑えきれず、昂ぶる心が目尻を湿らせ、鼻先をジンと痺れさせる。
良い日和の空の下で、成重は生まれて初めて心の底から、『この先も生きていきたい』と思うことができた。
成重は汗ばんだ顔で微笑みながら、ゆっくりと首を横に振って答えた。
『どちらの世界であっても、労働は尊いものです。大切な物の価値は、私とあなたの間でなにも変わりません』
本心からそう言えた成重の清々しい笑顔を、水晶はポカンと見上げている。
その頬が、徐々にほんのり桜色に染まっていった。
やがて彼女は花のように恥じらいながら、花よりも可憐に笑う。
『そうなのですか? あぁ、良かった!』
その満面の笑みに、成重の胸がギュウッと苦しくなった。
この痛みが、熱さが、もどかしくてたまらない。
不思議なほどに切なくて、どうしようもないほど幸せで、こんな気持ちは生まれて初めてだ。
これは……恋情。
自分は、水晶に恋をしている。
なんの希望も光もなかった人生の中で、やっと見つけた。
無色透明な、汚れのない澄んだ魂を。
その存在を通して、自分はようやく、世界の本当の姿を垣間見ることが叶うのだ。
水晶が『素晴らしい』と言った世界が、きっと自分にも見えるのだ。
奥底から湧き立つ感情を抑えきれず、昂ぶる心が目尻を湿らせ、鼻先をジンと痺れさせる。
良い日和の空の下で、成重は生まれて初めて心の底から、『この先も生きていきたい』と思うことができた。


