『それでは、失礼いたします。またお会いできるといいですね!』
水晶は臆する様子も見せずに欄干からヒラリと身を躍らせて、勢いよく水中に飛び込んだ。
大きな水音と共に透明な水飛沫が宙に舞い散り、それが光を反射して、宝石の粒のように輝いている。
そして、しなやかな手足を尾びれのように動かして、水晶はあっという間に水の底へと去って行ってしまった。
わずか一瞬に垣間見た、水の煌めきと、少女の際立った透明感。
その光景は成重の胸に、言いようのないほどの深い感動を刻んだ。
その日以来、残念ながら太鼓橋に赴く機会はなかったけれど、水晶との短い出会いは、彼の中に大きな変化をもたらすことになった。
毎日、ことあるごとに水晶の横顔が脳裏に浮かぶ。
あの明るい大きな声が。
あの意味深い言葉が。
そして交わした約束が、記憶の中で何度も何度も繰り返される。
成重は蛟の長の子ではあっても、十四番目という生まれのため、なんの地位も権限も与えられてはいない。
ほとんど家来同然に働かされる毎日だった。
そんな、未来に何の展望も持てない毎日に、まさに宝石の水晶のような澄んだ光が射すようになった。
なにかつらいことがあれば、空を見上げて少女の面影を思い起こし、この胸を慰める。
なにか楽しいことや嬉しいことがあれば、水の底の水晶にも、どうかこの幸せを分け与えられますようにと願う。
いつかまた会いたいと切望しながら、それはずっと叶うことはなかった。
それが今日、やっとのことで再会を果たすことができたのだ。
残念ながらというか、予想通りというか、水晶の方はあの日のことをすっかり忘れていたけれど。
水晶は臆する様子も見せずに欄干からヒラリと身を躍らせて、勢いよく水中に飛び込んだ。
大きな水音と共に透明な水飛沫が宙に舞い散り、それが光を反射して、宝石の粒のように輝いている。
そして、しなやかな手足を尾びれのように動かして、水晶はあっという間に水の底へと去って行ってしまった。
わずか一瞬に垣間見た、水の煌めきと、少女の際立った透明感。
その光景は成重の胸に、言いようのないほどの深い感動を刻んだ。
その日以来、残念ながら太鼓橋に赴く機会はなかったけれど、水晶との短い出会いは、彼の中に大きな変化をもたらすことになった。
毎日、ことあるごとに水晶の横顔が脳裏に浮かぶ。
あの明るい大きな声が。
あの意味深い言葉が。
そして交わした約束が、記憶の中で何度も何度も繰り返される。
成重は蛟の長の子ではあっても、十四番目という生まれのため、なんの地位も権限も与えられてはいない。
ほとんど家来同然に働かされる毎日だった。
そんな、未来に何の展望も持てない毎日に、まさに宝石の水晶のような澄んだ光が射すようになった。
なにかつらいことがあれば、空を見上げて少女の面影を思い起こし、この胸を慰める。
なにか楽しいことや嬉しいことがあれば、水の底の水晶にも、どうかこの幸せを分け与えられますようにと願う。
いつかまた会いたいと切望しながら、それはずっと叶うことはなかった。
それが今日、やっとのことで再会を果たすことができたのだ。
残念ながらというか、予想通りというか、水晶の方はあの日のことをすっかり忘れていたけれど。


