大きく肩を揺らして数回深呼吸をし、成重はようやく息を整えた。
胸に手を当て、かなりバツの悪そうな顔をして、また深々と頭を下げて挨拶をする。
『お見苦しい所をお見せしました。では、私はこれにて失礼いたします』
『あ、は、はい。どうもお疲れさまでございました』
結局なにしに来たんだろう、この人。よく分からない。
と思いながら、とりあえず水晶も深々と頭を下げて挨拶を返した。
『それではお約束通り、またお話をしに参ります。では』
そう言いって、ものすごく満足そうにニッコリ微笑み、成重はいそいそと立ち去っていく。
後ろで一本にまとめた髪が揺れながら遠ざかっていくのを見ながら、水晶はキョトンと立ち尽くした。
……約束、しただろうか私は。 いつ?
なんだか、なし崩し的にそういう展開になってしまったようだけれど……。
けれど……。
けれど水晶は、これまでになく自分の気持ちが、軽やかに浮き立っているのを自覚していた。
姉への渡り廊下役でしかなかった自分に、初めて声をかけてくれる人が現れた。
初めて。本当に、初めて。
そう思うと、体中に綺麗な水がいっぱいに満ちてくる気がする。
風に吹かれた水面が波打つように、心がキラキラさわさわと、輝きながら小刻みに震えている。
生まれて初めて感じる高揚感。この胸を躍らせる心地良い羞恥心と、湧き立つ未知の喜び。
また、あの人は訪れてくれる。
姉ではなくて、この自分に会うために。
それは水晶にとって奇跡と言っても過言ではないほどの、衝撃的な出来事だった。
胸に手を当て、かなりバツの悪そうな顔をして、また深々と頭を下げて挨拶をする。
『お見苦しい所をお見せしました。では、私はこれにて失礼いたします』
『あ、は、はい。どうもお疲れさまでございました』
結局なにしに来たんだろう、この人。よく分からない。
と思いながら、とりあえず水晶も深々と頭を下げて挨拶を返した。
『それではお約束通り、またお話をしに参ります。では』
そう言いって、ものすごく満足そうにニッコリ微笑み、成重はいそいそと立ち去っていく。
後ろで一本にまとめた髪が揺れながら遠ざかっていくのを見ながら、水晶はキョトンと立ち尽くした。
……約束、しただろうか私は。 いつ?
なんだか、なし崩し的にそういう展開になってしまったようだけれど……。
けれど……。
けれど水晶は、これまでになく自分の気持ちが、軽やかに浮き立っているのを自覚していた。
姉への渡り廊下役でしかなかった自分に、初めて声をかけてくれる人が現れた。
初めて。本当に、初めて。
そう思うと、体中に綺麗な水がいっぱいに満ちてくる気がする。
風に吹かれた水面が波打つように、心がキラキラさわさわと、輝きながら小刻みに震えている。
生まれて初めて感じる高揚感。この胸を躍らせる心地良い羞恥心と、湧き立つ未知の喜び。
また、あの人は訪れてくれる。
姉ではなくて、この自分に会うために。
それは水晶にとって奇跡と言っても過言ではないほどの、衝撃的な出来事だった。


