神様修行はじめます! 其の五

『覚えてほしい相手……?』

『あっ』


 成重がハッとした表情で口元にバッと手を当て、顔を赤らめてオロオロと視線を逸らす。


 そんな慌てた仕草を見ている水晶の頬も、思わずポッと赤く染まってしまった。


 心臓が勝手にトクトクと早鐘を打ち、体温が急上昇していく。


 お、覚えてほしい相手? それはどういう意味なんだろうか?


 なぜ目の前のこの人は、こんな風に顔を赤らめながら、ひどく動揺しているのだろう?


『あ、いえあの、別にいまの発言に他意はなくて……すみません……』


『あ、はい。あの、こちらこそ、すみません』


『その、つまり私は……あ、いえ、すみませんでした』


『あ、いえいえ! こちらこそ、すみませんでした』


 ひたすらお互いペコペコと頭を下げ合って、視線を逸らし、意味不明な会話ばかりを応酬する。


 な、なぜ私たちは、こんなに謝罪し合っているのだろうか?


 とにかく気恥ずかしくて、居たたまれなくて、どう対処すればいいのか分からない。


『ゴホン!……あー、水晶殿』


『は、はい?』


『あの、ゴホン。あー、これも何かのご縁です。今後も私と……』


『ご縁? なにかご縁がありましたっけ?』


『ゴホン! ゴホンゴホンゴホんゴホ……!』


『は、はいそーですね! これもご縁です! ……よく分からないですけど!』


『ゴホン! つまり、ゴホッ、今後も私とこうやって、ゴホッ、お話をする機会を……』


『…………』


『も、設けていただければ……ゴホッ! ゴホゴホゲホッ!』


『だ、大丈夫ですか成重様!?』


『ゴホッ、ず、ずみまぜ……空咳、し過ぎて、ゲホッ! と、止まらなくな……ゲホゴホーッ!』


『水! いまお水持ってきますから!』


『だ、大丈夫です。大丈夫です。治まりましたので……』