『あ、あの! その、えぇと……!』
『ああ、いえいえ、どうぞお気になさらず。たぶんそうだろうと思っていたので、自分から名乗ったのですから』
成重は、手をヒラヒラと横に振って微笑んでいる。
水晶は髪の毛が乱れるほどブンブンと勢いよく首を横に振り、なんとか収拾をつけようと口籠った。
『いえその、私は決して、あの……』
『本当に、お気になさらないでください。私のような地味な人間には、よくあることなのですよ』
はぁ、そうですか。うん、そうなんですよねぇ。
その気持ちは、よく分かる。
初対面の相手に一度で顔を覚えてもらえないことは、地味で影の薄い人間の、宿命のようなものだ。
「私もあなたも、この顔には本当に苦労しますよねぇ」
……と、思わず心からしみじみと相づちを打ってしまって、そんな我が身の失礼さに気づいた水晶の顔から、また血の気が引いた。
なにを言っているのか私はー!
それは、『あなたは地味男』と面と向かって断言しているようなものではないか!
失礼だろう! 失礼すぎるだろう自分!
これは絶対、蛟の長様からご叱責を受けることになってしまう。
顔から血の気が引きすぎて、もはや卒倒しかけている水晶の耳に、ハハハと軽やかな笑い声が聞こえた。
『まあ、そう悪いことばかりではありません。あまり関わり合いになりたくない相手に対しては、便利な特技です』
また糸のように目を細め、楽しそうに成重は笑う。
地味ではあるけれど、裏表のまるで感じられない、実直そうな笑顔だった。
『そして覚えてほしい相手には、何度もこうして話しかけることができる。やはり、便利ですよ』
『ああ、いえいえ、どうぞお気になさらず。たぶんそうだろうと思っていたので、自分から名乗ったのですから』
成重は、手をヒラヒラと横に振って微笑んでいる。
水晶は髪の毛が乱れるほどブンブンと勢いよく首を横に振り、なんとか収拾をつけようと口籠った。
『いえその、私は決して、あの……』
『本当に、お気になさらないでください。私のような地味な人間には、よくあることなのですよ』
はぁ、そうですか。うん、そうなんですよねぇ。
その気持ちは、よく分かる。
初対面の相手に一度で顔を覚えてもらえないことは、地味で影の薄い人間の、宿命のようなものだ。
「私もあなたも、この顔には本当に苦労しますよねぇ」
……と、思わず心からしみじみと相づちを打ってしまって、そんな我が身の失礼さに気づいた水晶の顔から、また血の気が引いた。
なにを言っているのか私はー!
それは、『あなたは地味男』と面と向かって断言しているようなものではないか!
失礼だろう! 失礼すぎるだろう自分!
これは絶対、蛟の長様からご叱責を受けることになってしまう。
顔から血の気が引きすぎて、もはや卒倒しかけている水晶の耳に、ハハハと軽やかな笑い声が聞こえた。
『まあ、そう悪いことばかりではありません。あまり関わり合いになりたくない相手に対しては、便利な特技です』
また糸のように目を細め、楽しそうに成重は笑う。
地味ではあるけれど、裏表のまるで感じられない、実直そうな笑顔だった。
『そして覚えてほしい相手には、何度もこうして話しかけることができる。やはり、便利ですよ』


