『……はい。私も、とても素敵だと思います』
目の前の男は微笑みながら、穏やかな声でそう言った。
元々細い一重の目が、笑うとますます細くなって、まるで一本の糸のようになる。
その気になれば、針に通せるんじゃないかしら? ちょっと挑戦してみたいかも。
……などとノンキなことを考えていたら、目の前の男は急に自己紹介をし始めた。
『突然話しかけたご無礼を、どうぞお許しください。私は蛟一族の第十四子、成重です』
『初めまして。小浮気一族の第二子、水晶でございます』
深々と頭を下げ合い、水晶と男は丁寧に初対面の挨拶を交わした。
ずっと水底で暮らしていた小浮気一族は、他一族とはほとんど面識がない。
ただ、水に関する高い霊質を持つ蛟一族とだけは、ずっと昔から親密な繋がりがあった。
現在、陸に上がった我が一族が、上位一族として名を連ねることができるのも、すべては蛟の長様の後押しのおかげ。
その蛟のご令息に、失礼なことがあってはならない。重々気をつけなければ。
……それにしても、十四番目ってなに? あの長様、すごすぎるわ。
『初めてではありません』
『はい?』
『初めてではありません。実は私たちは以前お会いして、ご挨拶もしているのですが』
『は?』
『やはり私のことを、お忘れだったのですね』
『…………』
自分の顔が、一気にスーッと青ざめていくのを感じた。
しまった!
失礼なことのないよう注意しようと思っていたのに、すでに自分が失礼なことをやらかしてしまっていた!
どうしよう! ここで『あぁ、あのときの!』とか取り繕えればいいのだけれど……
あいにくホントに、まったく微塵も記憶に残ってない!
だってこの人、すごく地味なんだもの! ……人のことは言えないけれど!
目の前の男は微笑みながら、穏やかな声でそう言った。
元々細い一重の目が、笑うとますます細くなって、まるで一本の糸のようになる。
その気になれば、針に通せるんじゃないかしら? ちょっと挑戦してみたいかも。
……などとノンキなことを考えていたら、目の前の男は急に自己紹介をし始めた。
『突然話しかけたご無礼を、どうぞお許しください。私は蛟一族の第十四子、成重です』
『初めまして。小浮気一族の第二子、水晶でございます』
深々と頭を下げ合い、水晶と男は丁寧に初対面の挨拶を交わした。
ずっと水底で暮らしていた小浮気一族は、他一族とはほとんど面識がない。
ただ、水に関する高い霊質を持つ蛟一族とだけは、ずっと昔から親密な繋がりがあった。
現在、陸に上がった我が一族が、上位一族として名を連ねることができるのも、すべては蛟の長様の後押しのおかげ。
その蛟のご令息に、失礼なことがあってはならない。重々気をつけなければ。
……それにしても、十四番目ってなに? あの長様、すごすぎるわ。
『初めてではありません』
『はい?』
『初めてではありません。実は私たちは以前お会いして、ご挨拶もしているのですが』
『は?』
『やはり私のことを、お忘れだったのですね』
『…………』
自分の顔が、一気にスーッと青ざめていくのを感じた。
しまった!
失礼なことのないよう注意しようと思っていたのに、すでに自分が失礼なことをやらかしてしまっていた!
どうしよう! ここで『あぁ、あのときの!』とか取り繕えればいいのだけれど……
あいにくホントに、まったく微塵も記憶に残ってない!
だってこの人、すごく地味なんだもの! ……人のことは言えないけれど!


