神様修行はじめます! 其の五

「あああぁぁぁ――!」


 爆ぜる音。目蓋の奥までバチバチと突き刺す光。


 遮ることのできない閃光が、脳裏と視界を純白のスクリーンのように、一気に染め上げる。


 そして鼓膜を震わす悲鳴のような泣き声が、頭の中にぐわんぐわんと容赦なく反響して、あたしは顔を歪めた。


 ……これ、誰の声? 誰かが叫んでる?


 クレーターさんの悲鳴に重なり合うように、誰かが、凄まじい声で泣きわめいているんだ。


 でも、あたしたちの声じゃない。それでもたしかに聞き覚えがある、この声は……?


『水晶(すいしょう)――!』


「……!?」


 その声の主をようやく思い出して、ハッとした。


 こ、この声……


「地味男!?」


 間違いない! いつものスカした口調とは全然違うけど、これはあの蛟一族の超危険人物、成重の声だ!


 なんで!? なんで地味男が絶叫してんのよ!?


 っていうかコラお前! 勝手に人の頭の中で大声出すんじゃない! やかましいわ、近所迷惑なやつめ!


 ああもう、なにがなにやら……!


「いったい何が起こっ……!?」


 瞬間、真っ白な嵐の吹き荒れる頭の中に、何かがドォォッと一斉に流れ込んできた。


 澄んだ水底。見知らぬ女性の横顔。穏やかな笑い声。


 優しい眼差し。触れ合う手と手。紡ぐ言葉と、受け止める想い。


 切ない痛み。逸る鼓動。熱く染まる頬。幸せな感情。


 そして……


 その果てに待ち構えていた、絶望。


 視覚、聴覚、嗅覚のすべてが、処理しきれないほど大量の情報を取り込んでいる。


 そしてあたしの頭と心に、かつての記憶を再現させている。


 否応なしに水の記憶と同調させられたあたしたちは、全員、ひとりの女性の名前をつぶやいていた。


「水晶……」


 それは小浮気一族の長の、二番目の娘。


 水園さんの、亡くなった妹さんの名前だった。