神様修行はじめます! 其の五

 命尽きた老母の姿に縋りつき、子が泣きわめく。


 痩せこけた体で身悶え、苦痛を叫ぶ我が子の体を押さえつけ、親が泣きむせぶ。


 流した涙が水に混じり、吐き出す苦悩が泡となり。


 行き場のない絶望が、血を吐くような悲痛な叫びが、水底にしんしんと降り積もる。


 ……水が濁り始めたのは、当然の成り行きなのだろう。


 こんな非情なこと、続くわけがない。


 輝くほどに美しかった水は、人の欲と苦悩と絶望に染まり、異質なものに姿を変えて、黒く澱んでいく。


「限界を超えていた我らは、陸に上がるより他に道がなかった。そこで宝物庫の管理という、新たな役目を得たのだ」


 あたしは、詰まった息と共に重苦しい物を胸から吐き出して、ようやく肩の力を抜いた。


 そうしてやっとのことで、彼らは苦痛から解放されたんだ。


 そう思ったら、ほんの少しだけ気が楽になった。


「それで、これまでの功績が認められて、小浮気は上位一族の仲間入りができたんだね?」

「功績?」


 ハッ……と、自嘲する声が聞こえて、あたしの胸がまた不安に染まる。


「ただの倉庫管理の役目だけで、上位一族として認められるわけがないだろう」


「え? どういう意味?」


「上層部が、みすみす宝物を諦めるわけがない、ということだ」