床板の上に、小さな小さな水滴が、ポツンと落ちていた。
すごく門川君らしい几帳面さが満ちているこの室内の中で、その水滴は、妙に場違いで違和感がある。
なんだろ? 雨漏りかな? でもこの庵って新築だよね? 手抜き工事か?
「この水は……!」
クレーターさんが、自分の鼻をぶつけんばかりに、水滴に顔をガバッと近づけて凝視する。
「クレーターさん? どうしたの?」
「水絵巻……!」
「え?」
「この水は、門川の家宝『水絵巻』の水だ!」
水絵巻の水? ……ああ、たしかに水絵巻は、そのほとんどが水でできているけど。
じゃあ、この水って水絵巻から零しちゃった水なの?
なあんだ。だったらちゃんと拭いときゃいいのに。
「でもなんで、こんなとこに水絵巻があるのかな? 家宝って、宝物庫から絶対に出しちゃダメなんでしょ?」
「…………」
「もしもーし? おーい?」
「たしかに、勝手な持ち出しは厳罰なのだ。だがそれ以上に、いやまさか、いやしかし……」
「もしもーし? クレーターさん聞こえてますかー?」
「まさか、水絵巻が…………破壊、されてしまった……?」
「はああぁぁ!? 破壊ぃ!?」
すごく門川君らしい几帳面さが満ちているこの室内の中で、その水滴は、妙に場違いで違和感がある。
なんだろ? 雨漏りかな? でもこの庵って新築だよね? 手抜き工事か?
「この水は……!」
クレーターさんが、自分の鼻をぶつけんばかりに、水滴に顔をガバッと近づけて凝視する。
「クレーターさん? どうしたの?」
「水絵巻……!」
「え?」
「この水は、門川の家宝『水絵巻』の水だ!」
水絵巻の水? ……ああ、たしかに水絵巻は、そのほとんどが水でできているけど。
じゃあ、この水って水絵巻から零しちゃった水なの?
なあんだ。だったらちゃんと拭いときゃいいのに。
「でもなんで、こんなとこに水絵巻があるのかな? 家宝って、宝物庫から絶対に出しちゃダメなんでしょ?」
「…………」
「もしもーし? おーい?」
「たしかに、勝手な持ち出しは厳罰なのだ。だがそれ以上に、いやまさか、いやしかし……」
「もしもーし? クレーターさん聞こえてますかー?」
「まさか、水絵巻が…………破壊、されてしまった……?」
「はああぁぁ!? 破壊ぃ!?」


