「門川君は絶対しないもんなぁ、そんな子どもじみたこと。水園さんはどうか知らないけど」
「水園も、そんな子どもじみた真似はせん! お前は私の娘が、当主様をそんなふざけた遊びに引き込んだとでも言うつもりか!?」
「誰もそんなこと言ってないじゃん。勝手に被害妄想に浸らないでよね。ふん」
「お前ら、やめい。子どもじみた言い合いをするでないわ」
「それで、これからどうすんの? どうやって門川君を探す?」
「おい滅火の娘、私の可愛い水園も探していることを忘れるな」
「わかってるよ。うるさいクレーターだなー。もう」
「やめいと言っておろうが。手始めに庵に向かうぞ。なにか手がかりがあるやもしれぬ」
そう言って歩き始めた絹糸に従い、あたしたちは太鼓橋を渡って、迷路のように入り組んだ小道を進んで行く。
植木沿いの細い道をクネクネと歩いていくうちに、急に視界が開けて、その奥に小さな庵が見えてきた。
「あれが永久が住まいにしていた庵じゃな。行くぞ」
近づくにつれて、それほど大きくはないけれど趣のある庵の佇まいが、よく見えてくる。
緑のコケむした土の上に建つ、格子の塀に囲まれた庵は、青色の瓦と真っ白な障子も真新しい、いかにも新築ピッカピカの建物だ。
入口に置かれている大きな睡蓮鉢には、赤と白の睡蓮が、細く幾重にも重なった花びらを天に向けて優美に咲いていた。
周囲にまったく人の気配はなく、シンと静まり返った場所に、あたしたちが踏み込む足音だけが響いている。
「やはり、どなたもいらっしゃらぬようでございますね」
「小浮気よ、誰ぞひとりも、ここには人員を配置しておらんかったのか?」
「『誰ひとり庵に近寄るな』との、当主様の厳命だったのだ。お言葉には逆らえん」
「水園も、そんな子どもじみた真似はせん! お前は私の娘が、当主様をそんなふざけた遊びに引き込んだとでも言うつもりか!?」
「誰もそんなこと言ってないじゃん。勝手に被害妄想に浸らないでよね。ふん」
「お前ら、やめい。子どもじみた言い合いをするでないわ」
「それで、これからどうすんの? どうやって門川君を探す?」
「おい滅火の娘、私の可愛い水園も探していることを忘れるな」
「わかってるよ。うるさいクレーターだなー。もう」
「やめいと言っておろうが。手始めに庵に向かうぞ。なにか手がかりがあるやもしれぬ」
そう言って歩き始めた絹糸に従い、あたしたちは太鼓橋を渡って、迷路のように入り組んだ小道を進んで行く。
植木沿いの細い道をクネクネと歩いていくうちに、急に視界が開けて、その奥に小さな庵が見えてきた。
「あれが永久が住まいにしていた庵じゃな。行くぞ」
近づくにつれて、それほど大きくはないけれど趣のある庵の佇まいが、よく見えてくる。
緑のコケむした土の上に建つ、格子の塀に囲まれた庵は、青色の瓦と真っ白な障子も真新しい、いかにも新築ピッカピカの建物だ。
入口に置かれている大きな睡蓮鉢には、赤と白の睡蓮が、細く幾重にも重なった花びらを天に向けて優美に咲いていた。
周囲にまったく人の気配はなく、シンと静まり返った場所に、あたしたちが踏み込む足音だけが響いている。
「やはり、どなたもいらっしゃらぬようでございますね」
「小浮気よ、誰ぞひとりも、ここには人員を配置しておらんかったのか?」
「『誰ひとり庵に近寄るな』との、当主様の厳命だったのだ。お言葉には逆らえん」


