でもこの結界、どうするんだろう? 解除したら精鋭部隊が飛んでくるんじゃないかな?
「それでは皆様、これから麻呂が、結界の解除と張り直しを同時に行いまする」
「え? 解除と張り直し?」
「つまり、この結界を解除する瞬間に、我らの背後にまったく同質の結界を、もうひとつ張るのでおじゃるよ」
「ほええ! マロさん、そんなことできんの!?」
「ふふ、麻呂はこれでも、端境一族の長でおじゃりまするぞ?」
自慢そうに胸を張ったマロさんが、両手で印を組んで目を閉じる。
やがてキイィンと空気が張りつめるような細い音が鳴り始めて、空間の密度が変化していくのが、肌で感じられた。
そして……
―― パッ……!
ほんの一瞬、耳の奥に変な圧を感じると同時に、薄黄色い色に覆われていた視界が完全にクリアーになる。
おっ? と思って後ろを振り向くと、まさしく、さっきと同じような色付きラップの壁が、見事に出来上がっていた。
「おおー、マロさんナイス!」
「ふふふ。じきに父親になるならば、これくらいは出来て当然でおじゃる!」
すごいよ、さすがはマロさんだ! 出産と結界に、何の関係があるのかはぜんぜん分かんないけど!
でもこれで誰にもバレずに、結界の中に入り込むことができた。
「絹糸様、いかがでございましょう? どこかに永久様の気配は感じられますでしょうか?」
セバスチャンさんの問いかけに、絹糸が両目を閉じて天を仰ぐ。
あたしたちには理解できない、微細な何かを取り込むように鼻をヒクつかせていたけれど、すぐに両目を開いた。
「……いや。やはり永久は、この場にはおらぬようじゃな」
そっか……。小浮気の人たちも、結界の中は片っ端から探したって言ってたしね。
まさかふたりして、かくれんぼして楽しく遊んでるわけじゃないだろう。
「それでは皆様、これから麻呂が、結界の解除と張り直しを同時に行いまする」
「え? 解除と張り直し?」
「つまり、この結界を解除する瞬間に、我らの背後にまったく同質の結界を、もうひとつ張るのでおじゃるよ」
「ほええ! マロさん、そんなことできんの!?」
「ふふ、麻呂はこれでも、端境一族の長でおじゃりまするぞ?」
自慢そうに胸を張ったマロさんが、両手で印を組んで目を閉じる。
やがてキイィンと空気が張りつめるような細い音が鳴り始めて、空間の密度が変化していくのが、肌で感じられた。
そして……
―― パッ……!
ほんの一瞬、耳の奥に変な圧を感じると同時に、薄黄色い色に覆われていた視界が完全にクリアーになる。
おっ? と思って後ろを振り向くと、まさしく、さっきと同じような色付きラップの壁が、見事に出来上がっていた。
「おおー、マロさんナイス!」
「ふふふ。じきに父親になるならば、これくらいは出来て当然でおじゃる!」
すごいよ、さすがはマロさんだ! 出産と結界に、何の関係があるのかはぜんぜん分かんないけど!
でもこれで誰にもバレずに、結界の中に入り込むことができた。
「絹糸様、いかがでございましょう? どこかに永久様の気配は感じられますでしょうか?」
セバスチャンさんの問いかけに、絹糸が両目を閉じて天を仰ぐ。
あたしたちには理解できない、微細な何かを取り込むように鼻をヒクつかせていたけれど、すぐに両目を開いた。
「……いや。やはり永久は、この場にはおらぬようじゃな」
そっか……。小浮気の人たちも、結界の中は片っ端から探したって言ってたしね。
まさかふたりして、かくれんぼして楽しく遊んでるわけじゃないだろう。


