久遠の絆

◇◇◇






シドは蘭の手を握ったまま、どんどん歩いて行く。


洞窟を通り抜け、外に出た。


日は傾きかけていた。


一枚岩は長い陰を作っている。


その陰に入った途端、シドは蘭を引き寄せ、広い胸の中に抱き締めた。


「会いたかった……」


吐息のように囁かれた言葉が耳をくすぐり、蘭の胸は早鐘のように打ち始めた。


「シ、シド」


蘭が身を離そうとするのを許さないシドは、さらに抱く手に力を込めた。


シドの規則正しい鼓動が、耳に直に伝わって来る。


生きて再び会えたのだと、改めて感じた。


蘭は抗うことを諦め、シドの胸に頭を預けた。


彼の生命力をもっと感じていたくなったのだ。


蘭の頭を撫でるシドも、同じなのかもしれない。


生きている温もりが、互いを癒していた。


「無事で良かった」


「う、うん。シドも。行方不明って聞いたから、心配してたんだよ」


「そうか」


「でも、きっと会えるって信じてた。シドなら、絶対生きてるって」


「ヘラルドに酷い目に合わされたんだろ?」


「……うん。あの人は怖い人だよ。目的の為なら手段を選ばない」


「ああ、そうだな。だが、俺たちがこうして生きてるってことは、まだ俺たちに何かするべきことが残ってるってことだ。蘭」


背中に回されたシドの手に、力が加わる。


「これからは、ずっと一緒だ。決して離れたりしない。だから、お前も俺の側にいろよ」


「う、うん。ありがとう」


「お前の苦しみも悩みも、全部俺が受け止めてやる。だから、一人で抱えて落ち込むなよ」


「……うん……」


本当は、シドとて悩み、苦しんでいるだろうに。


それを自分の中に留めながら、蘭のことまで慮ってくれる彼のさりげない優しさに、蘭は感謝した。