久遠の絆

その時だった。


ザンッッッ!


と何かの裂ける音がしたのだ。


「なんじゃ?」


はっとして振り向いたナイルターシャは息を飲んだ。


そこには、ありえない光景が広がっていたからだ。


外界からの干渉を受けるはずのない球体の壁面に、ぱっくりと口が開いていた。


そこからは剣を手にしたカイルが飛び込んできた。


「蘭さま!」


いつもは冷静なカイルの額に、冷や汗が浮かんでいる。


続いて入ってきたセクン大司祭は顔を青ざめ、


「元帥どの。どういうつもりじゃ。神聖な儀式の邪魔をしおって」


などと息巻いている。


そんな二人の前で、スッとナイルターシャが身を引いた。


彼女の向こうには、いまだ光に包まれたまま横たわる蘭の姿。


「なっ……」


「これは……」


息を飲む二人に、ナイルターシャは艶然と微笑んだ。


「たった今、神の“贄”となったよ」


蘭の周りの光がゆっくりと天へと上っていく。


まるで彼女の魂を運んでいるように見えた。


カイルが剣を手から滑り落とした。


それはカシャンと妙に響く音を立てて転がった。


「こうなることは分かっていたろう、元帥?何を落ち込んでいる。
お前さんの望み通り、世界はこれで救われたんだ」


感謝しろと言わんばかりの、ナイルターシャの態度だった。