「あ、晴香ちゃんからメールの返事きた」
「お! なんて?」
女子高生並に早い返信速度に驚きながら、私はお母さんにメールの内容を聞いた。
「晴香ちゃんも久しぶりに琥珀に会いたいってさ」
悠ちゃんのお母さんの返事に、私はホッと胸を撫で下ろす。
「本当? よかったぁ……」
実のところ、お母さんについていくと安易に決めたものの、内心は不安だった。
二宮家とは家族ぐるみの仲とはいえ、悠ちゃんのお母さんにとっては友達と会うのに、その子供が同席するのは嫌じゃないかな、なんて具合に。
「それと、悠希くんも連れて来るみたいよ?」
「え! なんで?」
さらにお母さんの口から出た驚愕の発言に私は条件反射で声を上げてしまった。
「さあ、そこまでは分からないけど……私が琥珀も連れて行くって言ったから、話し相手にって思ったんじゃない? でもよかったじゃない、琥珀も退屈せずに済みそうで」
「まあ……」
緩んで上がろうとする口角を表情筋で必死に食い止めながら、私は曖昧に返答した。
あくまで喜んでなんていませんよ、といった風に。
実際は飛び上がってしまう程嬉しいのだけど。
私はお母さんに言われた通り出掛ける直前まで自室のクローゼットから大量の服を引っ張り出して鏡の前で一人ファッションショーを繰り広げ、ドレッサーの前で念入りに化粧を施すのだった。
もちろん、つけまつげは無しで。