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「知らなかったぁ…"桜の園"って結構重かったんだね…」

美登里はポツリとそう漏らすと、シートの上に視線を落とした。


昼休み、この前と同じ場所に陣取ってお昼を食べてることにしたあたしたち。
美登里たちもてっきりよい報告が聞けると思っていたのだろう…あたしが佳代先生に断られた話をすると、みんな驚きを隠せないようだった。

さらに続けた"桜の園"にまつわる話に、盛り上がっていたはずの昼の空気はすっかり姿を消していたのだ。

「…ワケありってヤツだよね。佳代ちゃんがそう言うのも仕方ないっていうか」

奈々美もうなだれたようにそう言うと、広げていた台本を閉じた。

花のないはずの公園に、風に乗ってやってきたのか…薄紅の花びらが舞い込む。

昨日一晩は、よく眠れなかった。去っていく佳代先生の後ろ姿、見たことのないお姉ちゃんの姿…

頭の中で、何度も何度もぶり返す痛みのように消えてはくれなかったのだ。


「だよね…やっぱダメだね、無理無理。やるなっていわれたんじゃできないよ〜」

「無理だよねー。やめよっか、"桜の園"」

「…ちょっと待って!」


奈々美たちの受け流すような軽い会話に、思わず声を荒げていた。

黙って聞いていた葵が、目を見開く。


「なんで止めなきゃいけないの?おかしいよ、そんなの」

「おかしいって…だって学校で上演許可おりないんだよ?そんなの諦めるしかないじゃん」

「ワケありっていっても昔のことじゃん!今あたしたちが演劇やりたいって言って、何が悪いの?」

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