垂れ流しになったニュースをぼんやりと見つめながら、トーストを頬張る。
テレビというのはひどく便利なものだなぁと思う。もしこれが無かったら、あたしたちは自分の足で歩き、自分の目で見て情報を手に入れなければならないんだから。
…もし本当にそうなったら、あたしはとっくの昔に世間から取り残されてしまっている。
顔を洗い、適当なジーンズを引っ張り出して足を潜らせると、再びベッドに出戻りした。
ずっと制服のスカートだったから、ジーンズなんてしばらくぶりの感触だ。きゅうっと足を締め付ける感覚が、少し懐かしかった。
…目を閉じる。夢は、やって来ない。
白い天井に残された染みは、広がることも無くなることもしていなかった。
お姉ちゃんとは、あれからまともに話をしていない。当たり前だ。
彼女の辛い過去を掘り返すようなことをしていたあたし。
笑って話なんて、できるわけがなかった。
お父さんやお母さんは何も言わないけれど、きっと、内心呆れ返っているだろう。もしかしたら、あたしに失望しているかもしれない。
時間もお金も一心に注いで、お父さんもお母さんもあたしのバイオリンに期待をかけた。まさか裏切られるなんて、微塵も思わずに。
お父さんが頼み込んでなんとか編入させてくれた櫻華にですら、落ちこぼれ…挙げ句の果てに、今回の謹慎。
「どんどん駄目んなってってるじゃん…」
思わずひとりごちて、自分でも苦笑した。
世界から外されたのはあたしだけだ。あたしがいなくてもみんなは残っているし、結局はみんな自分が大事だ。
…あたしのことなんて、すっかり忘れてしまうのだろう。
ずっと部屋の中にいれば、朝も昼も夜も同じ。謹慎が終わったって、やりたいことを失った日々では何をしていても同じだ。
ただ、月日が過ぎていくことだけを望む日々が、待っているだけなんだ。
遠くの方で電話の鳴る音がする。目をつむる。すべてを遮断するように。
外の世界に、別れを告げるように。
ベルの音が、ピタリとあたしを呼ぶのを止めた。
──あたしの存在価値は、もう底をついてしまったのだ。
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