櫻の園


小柄で華奢な体なのに、リミさんには口では言い表せないようなオーラがあった。

それは選ばれた人しか持てない魔法。

葵とはまた違った魅力で、人を惹き付ける。


「てかホントに幼なじみ?実は彼女なんじゃないのー?」

「ちょ…っリミさん!!変なこと言わないで下さいよ!」

あはは、と軽やかに笑って洲の頭を掻き混ぜるリミさん。初めてみたツーショットなのに、仲の良さが痛いほどに伝わってくる。

なんだか胸がキュッとしなるように、苦しくなった。


「あ、てかさぁ!ライブの四曲目のサックスメインのヤツあるじゃん?あれサビがちょっと歌いづらいんだよね〜」

「あー…リズムがちょっと遅いのかな?」

「そんな遅いってワケじゃないんだけどさ、もっとこう…みんなでのれるかんじがいいんだけど」

「…んー…じゃあ、こんな感じでどうっすか?」


即興で生まれるサックスの旋律。

頭を捻りながら次々に違う雰囲気を探り出す洲と、それを真剣に聞き入るリミさん。


すぐ目の前の光景なのに、あたしには二人がすごく遠く見えた。


洲が何度目がのメロディーを奏でた時、リミさんの顔がパァッと晴れた。

「それ!それいい!!みんな、さっきの感じで合わせられる?」

「オッケ、やってみるわ〜」

了解、と手を振り上げると、ドラムの人はスティックを手の中でくるりと回す。


刻まれ始めるリズム。四拍子。息を吸い込むメンバーたち。



ダン──!!全員の音が同時に揃った瞬間…あたしの心は、跳ね上がった。


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