GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

「っ!!」

それを見た瀬里が眼を見開き、両手で口を覆った。

後ずさる瀬里に律がゆっくりと歩み寄る。

「大丈夫、怖くない」

「や、やだ」

部屋の壁に瀬里の背中がトンと当たり、逃げ場を失った彼女の声が上ずる。

「律、やめて」

だって瀬里に暗示なんて、そんなのダメだよ。

瀬里はやっとできた私の友達で……暗示なんてダメ。

けれど、私はそれを声に出来なかった。

「瀬里……藍と友達でいたいなら知能の低い野良犬とは縁を切って」

怯えていた瀬里の瞳がたちまち虚ろになっていき、口元が少し動いた。

「野良犬……縁を切る……」

瀬里が掠れた声で呟いた。

「分かった?瀬里」

「うん……」

律がフウッと笑った。

「じゃあ行こう。藍、瀬里ちゃんを送ってくる」

「……じゃあ、またね……」

瀬里が私を見ずにゆっくりと部屋の外へ姿を消した。