「藍。俺、藍が好きなんだ。だから、俺以外の男と一緒にいないで」

ドキンと鼓動が跳ねた。

「凄く……妬ける」

律が頬を傾けて、僅かに両目を細めた。

「藍。藍は俺が嫌い?」

私は夢中で首を横に振った。

「嫌いなわけない!私だって律が好きだよ」

涙が出そうになった時、律が私の頬にキスをした。

綺麗な顔を傾け、私を抱き締めて。

ようやく少し顔を離した律は雪野一臣を一瞥すると、囁くように言った。

「藍。俺を独りにしないで」

独り。孤独は寒い。孤独は……痛い。

「律、帰ろう。私、律を独りにしない。律から離れないから……」

「……藍……好きだよ」

「うん」

私には律しかしない。律にも私しかいないんだ。

私は雪野一臣に背を向けると、律の手をしっかりと握って歩き出した。