GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

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結局今日はノックをしなかった雪野二人組のせいで、画どころではなかった。

特に瀬里の彼氏の雪野翔は、瀬里をそのまま何処かへ連れ去ってしまい、後には私と雪野一臣だけが取り残された。

「……車で送る」

決まり悪そうな顔で雪野一臣は一瞬だけ私を見た。

制服に着替えて、ブレザーのポケットに両手を突っ込んだ私は、抑揚のない声で返す。

「いい。わりと近いし。歩いて帰る」

私がそう言うと、雪野一臣はムッとして私を見下ろした。

「それじゃ俺がまた瀬里に怒られるだろう!」

「そんなの適当に言えばいいでしょ!」

ツン!と横を向いて私は口をつぐんだ。