だからああ言ったんじゃないだろうか。

律がヴァンパイアだと知った今、心にはこの予想しか浮かばなくて、私は瀬里を見据えた。

「あなた達は何を知ってるの?雪野一臣は、何者?」

瀬里がグッとつまった。

私はそれを見て早口で言った。

「たとえ律が誰でも私は構わない」

瀬里がみるみる青くなった。

「藍ちゃん、それは」

そこでホームルームを告げる本鈴が鳴り、皆がガタガタと席に着き始めた。

それを見た瀬里が諦めたように唇を引き結んだから、私は彼女を見上げて短く言った。

「心配してくれてるのは分かってる。でも、ほっといて」

「藍ちゃん……」

瀬里の心配そうな眼差しから、私は眼をそらすしかなかった。

だって、律といたいから。