「律も、泣かないで」

「藍。俺には藍の孤独が分かるよ。ヴァンパイアになって……いや、それ以前もずっと孤独だったから」

そう言うと、律は私を抱き締めた。

「正直に言うとね、俺、あの時助けられるというのがヴァンパイアになるって事だとは知らなかったんだ。気付いた時には血に飢えていて自分をコントロール出来ずに辛い時期もあったよ。だけど、今はヴァンパイアになって良かったと感じてるんだ。だって、藍に出逢えたから」

律……!

律のその言葉が嬉しくて、涙が止まらない。

いいって思えた。

律がヴァンパイアでもいい。

「律。律ならヴァンパイアでも構わないよ。もう律は独りじゃない。私がいるから」

律の肩が震えた。

「藍、ありがとう。俺、今日を忘れないよ」

「私も、忘れない」

この時の私は、誰かに必要とされた喜びと初めて心の底から信頼できる人に巡り会えた幸せに胸が熱くて、他に何も考えられなかった。