GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

その合間に、私は信号機をチラチラと確認しながら律の姿を探した。

いない。

やがて信号が青になり、誰よりも早く横断歩道を渡りきると、私は洋食屋さんの前から辺りをぐるりと見渡した。

前にも後ろにも、どこにも律はいなかった。

振り返る度に律がいるかもと、胸がドキドキしたけど……そうだよね、そうそう上手い具合に会いたい人に会えたりなんかしないよね。

小さくため息をつくと、空を見上げた。

高くて青かった空がいつの間にかグレーの雲に覆われていて、私の浮き足立っていた心を冷やした。

ああ、馬鹿だなあ、私。

たとえ私が会いたいと思ったところで、律が私と同じ気持ちだとは限らないのに。

……帰ろう。

さっきまでの気分を振り払うように、私は早足で歩き出した。