雪野一臣は、家まで送ってくれた律を不審に思ったのに違いない。

もしかしたら瀬里にそれを伝えて、彼女が私を心配しているのかもしれない。

「早く答えろ」

「関係ないでしょ」

威圧的な表情でこちらを見下ろす雪野一臣を一瞥すると、私は視線をそらした。

「どうしてあなたにそんな事答えなきゃならないの?ほっといてよ」

「…………」

「…………」

意外にも私のこの一言で、雪野一臣はおろか瀬里までもがグッと詰まった。

訳の分からない沈黙と、周りの喧騒がやけにアンバランスだ。

「瀬里、先に行くね」

そう言い捨てて歩き出した私に、瀬里が焦った様子で声をかける。