「っ!」

これって……この感覚は……。

キスだ。

翠狼が、私の額にキスをしたんだ。

ゆっくりとそれから、凄く優しく。

唇じゃないけど……でも、凄く嬉しい。

……ドキドキで死にそうだったけど、私は翠狼の背中に両腕を回すとギュッと抱き締めた。

それから、唇を離した彼をもう一度見上げる。

その瞳は綺麗な綺麗な翡翠色で。

ああ、本当に夢みたいだ。

その時、翠狼が私を少し睨んだ。

「そんなに見るな」

またしても精悍な彼の頬が赤くなる。

やがてどうしていいか分からないといった風に、翠狼は髪をガシガシとかきあげた。

「ダメだ、暑すぎる」

……そういえば……。

そういえば以前、着替え中の私を見てしまった翠狼は真っ赤になって焦ってたっけ……。

見た目はワイルド系で逞しいイケメンなのに照れ屋で優しくて……。

大好き。そんなところも本当に大好き。

「翠狼……」

私が呼ぶと彼は落ち着きなく視線をさ迷わせていたけど、やがて小さく返事をした。

「ん」

「好きになってくれてありがとう」

本当に、ありがとう。