翠……狼……。

私だって、私だってあなたを。

「……人狼でいいよ。私は、人狼の翠狼が好き」

「……!」

翠狼がピタリと息を止めたのが分かった。

私はこの胸の想いを知ってもらいたくて、涙を押し退けながら必死で口を開いた。

「私も本当は言わないでおこうと思ってた。だって、翠狼は私にはもったいないから。翠狼にはもっと他にピッタリな人がいる気がして……でも、好きなの」

厚い胸に頬を寄せたまま私がそう言うと、翠狼がガバッと私から身を離した。

「……」

信じられないといったように見開かれた瞳が私を真正面から見つめていたから、私はもっともっと伝えたくて彼を見上げた。

「翠狼。私、翠狼が好き。凄く凄く、大好き」

私の言葉に翠狼が僅かに両目を細めた。

それから視線を下げて私の唇を見つめる。

「……」

「……」

でもそれはほんの一瞬で、彼は素早く視線を反らして横を向いた。

眼を見張る私の前で、みるみる翠狼の顔が赤くなる。

なんか、恥ずかしい……。

翠狼の視線に少しだけ期待した自分に、私自身も赤くなってしまう。

その時急に空気が動いた。

それから、額に柔らかい感覚が広がる。