****

「ごめん、瀬里……」

「ううん、気にしないで。藍ちゃんが偉大なるヴァンパイアのお嫁さんにならなくてよかったぁ……ね、翠狼」

「……」

翌日の日曜日、ようやく目覚めた私はベッドの上からペコリと瀬里に頭を下げた。

「私は大丈夫だよ。それよりも凄いの。翠狼が……なんというか野性の勘?まるで藍ちゃん探知機って感じで、」

「瀬里!」

翠狼がギラリと瀬里を睨んだものだから、彼女は咄嗟にキュッと肩を縮めた。

「余計な事を言うな」

翠狼は私の部屋の隅に置いた椅子から立ち上がると、私を一瞬たりとも見ずに部屋から出ていってしまった。

「翠狼ったら……せっかく藍ちゃんの眼が覚めたのに……」

「……いいの」

だって分かってるもの、完全に嫌われたって。