GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

その数段を降りて息を潜めると、一階の翠狼達の様子を窺う。

翠狼の家は広くて遠く離れた部屋の音なんか耳に届かなかったけど、逆に私にはそれが、皆が私の存在を気にしていない事を示している気がした。

その時、

「星狼、れいの件はどう?分かった?」

「ああ、羊皮紙があまりにも古すぎて所々文字が消えてるが……解読は出来た」

「やったわね」

カグヤさんの声と星狼と呼ばれた人の声のあと、バタンと扉が閉まった。

数十秒の間その場で様子をうかがった私は、出来るだけ気配を殺しながら階段を降りた。

『同居人のJKは?』
『藍なら……二階だ』
『じゃあ大丈夫ね。早く作戦をたてましょう』

……私に秘密にしておきたい作戦って、なに?

律や清雪達ヴァンパイアがいなくなっても、まだ何かあるの?

ヴァンパイアと人狼の間で、まだ何かあるの?

私に聞かせたくないのは……もしかして、私の血がファシネイティングブラッド……魅惑の血だから?