GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

こんなの、面倒臭い女の子の典型じゃん。

……そうだ……いつも私は……私は、面倒臭い。

翠狼の前で私は、いつもグジグジしてメソメソ泣いて黙り込んで。

自分だってこんなの嫌だ。でも、どうしようもない。

「藍。話を聞け」

「無理」

一、二秒の沈黙のあと、

「……分かった」

今、彼はドアから離れて階段へと向かっているだろう。

……胸が痛い。心臓が握り潰されるような苦しさに耐えられなくて、私は眉を寄せて口を開けた。

息が吸えないような感覚。

助けて、誰か。

その時、一階から大きな声が響いた。

「翠狼、来たわよー」

ビクンと身体が震えて、丸めていた背中が伸びた。

……カグヤさん達が来たんだ。

私はそっとドアに近寄ると少しだけ開けて一階の様子を窺った。