GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

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その夜。

いつもは翠狼に部屋へ行って寝ろと言われるまでリビングにいるけど、夕食後、私は早々と部屋へ引き上げた。

……だって……またカグヤさんが来るって知ってたから。

『翠狼ー?今から行くねっ!星狼は少し遅れるらしいけど、凰狼と海狼は私が拾っていくから』

翠狼のスマホから、カグヤさんの声が駄々漏れだった。

翠狼は分かったと一言だけ言うと電話を切り、私をチラリと見たから、私は直ぐに眼をそらして二階へかけ上がった。

わざわざこっちを見ないで欲しい。

ムカムカとする不快感が胸に渦巻くから、私は大きく息を吸ってそれを吐き出そうとした。

なのに、ムカムカは治まるどころかひどくなる。

こんな感情を抱きたくないのに、私の意思とは無関係にそれは生まれる。