GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

「えっ!?」

冷や汗の出る思いで山下君を見る私に、彼は更にニヤついた。

「……好きなの?」

翠狼への気持ちを他人に悟られるなんて初めてだ。

それに答えるのも。

黙って頷いた私を見て、山下君が優しく笑った。

「そっか。良かったな」

「え?」

どうして『良かった』んだろう。

不思議そうにする私に山下君は、

「好きな人がいるって、心の中がカラフルになって楽しくない?パレットの上ならさ、一度混ざった色は元に戻らないけど、心の中で好きな人を想う時はたとえ心がどんな色になっても、また綺麗な色が蘇ったりするんだよな」

山下君が空を見ながらそう言ったから、私も白い雲を見て口を開いた。

「うん、そうだね。私も、今の黒い色を早くカラフルで優しい色にしたいなあ」

……山下君にもきっと好きな人がいるんだろうな。

彼の心の中も、沢山の綺麗な色に染まればいいな。

私は山下君の背中に視線を移すと、心の中でそう願った。