GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

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翌日。

「……行ってきます」

「ああ」

校門の手前で車を停車した翠狼との短い会話。

チラリと私を見た翠狼は直ぐにミラーに眼をやり、発進のためにシフトレバーに手をかけた。

「連絡は忘れるな」

「うん」

その時、

「松下!」

ポン、と私の肩を叩くと同時に山下君の爽やかな声がして、私は後ろを振り返った。

「あ、山下君。あの、昨日はなんかごめんね」

車のドアを閉め、二人で翠狼の車の脇を通りすぎながら私がこう言うと、山下君が肩越しに振り返り、フロントガラスを見た。

「車のイケメンモデルみたいな人、誰?」

「えっ!?」

「昨日も超絶怖かったけど、今も俺、ガラス越しにすげー睨まれてるけど」

「い、行こ、山下君」

私は山下君にこう言うとズンズンと突き進み、校内へと入った。

「松下、だから誰?」

「あ、うん、兄……」

「……」

……返事が返ってこなくて、不安になって山下君を見上げた私はギクリとして立ち止まった。

だって、山下君が私を見つめてニヤニヤと笑っていたんだもの。

「な、なに」

「嘘つけ」

ギクリとした身体が、今度はピシッと硬直する。

「好きだって顔に書いてある」