GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

その手が、私の右手を掴む。

指に翠狼の指が一本ずつ絡み付き、信じられない思いで私は息を飲んだ。

胸がキュッと縮むような、軋むような切ない痛み。

翠狼の大きな手に握られた右手が、ううん、身体全体が熱い。

咄嗟に翠狼の顔を見上げたけど相変わらず彼は前を向いたままだし、薄暗い車内では微妙な感情を読み取る事が出来なかった。

でも、でも……自分の気持ちはハッキリと分かった。

惹かれてるとかいうレベルじゃない。

……好きなんだ。

やっぱり、私は翠狼を好きなんだ。

だから、どうして翠狼が私と手を繋いでくれるのか分からないけれど……嬉しい。

泣きそうになるくらい。

それと同時に不安で、切なくて苦しくて。

ああ、ドキドキするこの煩い鼓動が、この手を伝わって翠狼にバレてしまったらどうしよう。

この気持ちに気付かれたらどうしよう。

でも、だけど。

出来ることなら離さないで。

たとえこの気持ちが伝わってしまったとしても。

私は少しだけ力を入れて翠狼の手を握り返すと、胸に左手を当てて眼を閉じた。