GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

だから私は彼を見上げてこう言った。

「夢があって羨ましい。山下君は器用だし美容師さんってピッタリだと思う。頑張ってね」

山下君が正門の前で立ち止まった。

「……」

ポカンと私を見下ろす顔が、何だか可愛い。

「山下君?」

「ああ……うん。なんかお前……印象変わったわ」

え。

驚く私に山下君が慌てて言った。

「誤解すんなよ?悪い意味じゃないからな。前よりも取っ付きやすくなったし、表情が柔らかくなったっつーか」

冬の風は冷たいのに、何だか身体が熱い。

ムズムズするような、少し胸がフワリとするような、恥ずかしいような気持ち。

どうしようと思い俯いた時、山下君の手が私の頭にポン、と乗った。

「お前とこんな風に話せて嬉しいよ」

……聞き間違いかと思った。

私と……話せて、嬉しい?

本当に?

ジン、と胸が温かくなって、私は山下君を見上げた。

「藍!」

その時、そんな私たちの間を裂くような声がした。