だから私はちゃんと伝えたくて再び続けた。

「偉大な王には必ず偉大な側近がいるもの。みんな絶対に翠狼を頼りにしてる。あなたがいるから皆は、きゃあっ」

急に勢いよく手首を引かれた。

身体が前のめりになり、あっという間に翠狼の身体に密接する。

驚いて顔をあげると、至近距離で翠狼と眼があった。

「……」

「……」

心臓が破裂しそうなほどバクバクと脈打ち、カアッと顔が熱くなる。

「藍、」

その時、

「翠狼ー?飲みに行くわよ!?今日は逃がさないわ」

急にバタン!とドアが開き、一人の綺麗な女の人がそこに立っていた。

「あれー?お取り込み中ー?」

翠狼が私を離して立ち上がり、彼女をチラリと見た。

「カグヤ。約束の時間までまだ一時間もあるが」

翠狼がこう言うと、カグヤと呼ばれた女の人が甘えるように翠狼の腕に抱きついた。