「あ……そ、れは……その……」

知りたかった。翠狼の事はなんでも。

「瀬里、教えて」

瀬里が私をまっすぐに見つめた。

「……翠狼を嫌いにならないって約束してくれる?!じゃないと、話さない」

私はすぐに頷いた。

「嫌いになんかならない。なるはずない」

「……」

「……」

しばらく見つめ合った後、瀬里が決心したように口を開いた。

「翠狼はね、人狼王になる事だけを目標にして生きてきた人だったの。でも……なれなかった。『天狼神』の石が……先輩を選んでしまったから。翠狼は私と出会った頃、絶望して自暴自棄になってたの」

ズキッと胸が痛んだ。

胸を突かれる思いで、話し始めた瀬里を私は夢中で見つめていた。