「いえ、こちらの方こそいつもお世話になってるんです。松下さんは勉強教えるのが凄く上手いし、いつも冷静で、クラスの中で一番頼れる存在なんです」

信じられなかった。

そんな風に思ってもらえてたの?

驚く私の前で高橋くんと内藤さんがホッとしたように私に笑いかけた。

「貧血かもよ?栄養摂って今日は帰ったら早く寝なよ?」

「明日はさよなら会の打ち合わせあるからね」

私は慌てて頷いた。

「う、うん。じゃあ、また明日ね」

「ん!ばいばい!」

二人を見送ったあと、翠狼が私の顔を少しだけ見た。

「……皆がお前を好きじゃないなんて思わなくていい」

「……うん……」

泣きそうになるのを我慢したくて、私はぎこちなく笑った。

「歩いて帰れるよ。……ありがとう」