「あんただって化け物じゃん!!」

「藍ちゃん!!」

瀬里が涙声で叫んで、その声が私をハッとさせた。

「っ!」

私を見る雪野一臣の眼差しに、影が落ちる。

傷付けた。

すぐにそれが分かったけど、胸に渦巻く恐怖や悲しみ、屈辱や痛みに、私の全てが限界だった。

「帰る。もうあなた達とは二度と会わない」

私は二人を見ずにこう言い放つと、座り込んでいたラグからたちあがろうとした。

「っ……!」

「きゃあっ、藍ちゃん!」

さっきよりも強い目眩がして、一瞬にして目の前が真っ暗になった。

「瀬里、ブランケットを持ってこい!部屋の温度を上げろ」

多分、今私は自力で立っていない。

だって、雪野一臣の香りと温かい腕に包まれているもの。

もう、ダメ。気分が悪いしとてもじゃないけど……私……。

「しっかりしろ、藍」

頭が痛い。異様に身体が重い。

次第に瀬里や雪野一臣の声が遠くなっていって、遂に私は何も分からなくなった。