「藍ちゃん、あのね、これには訳があって……」

「教えてよ……なんなの、どういう事なの」

「…………」

広いリビングに重苦しい沈黙が広がる。

「ねえ瀬里、教えてよ………」

瀬里が観念したようにギュッと両目を閉じて息をついた。

「私はその……最初から律くんの暗示にはかかってなかったんだ……」

……嘘……でしょ!?

私、ちゃんと見ていたのに。

ママが律に暗示をかけられた時と同じように、瀬里も瞬く間に瞳が虚ろになって、表情が無くなっていって……。

「じゃああれは、何だったの?あれは、ただの『フリ』?」

「うん……」

瀬里が私を上目遣いで見て、コクンと頷いた。