「いいよ。これくらい平気」

「……でも……」

「瀬里のがいっぱい怪我してる」

私が瀬里の足に視線を向けると彼女は困ったように笑った。

「あ、私なら全然……あのクリスタルのデキャンタを叩き付けた時に破片が飛び散って」

……あんな恐ろしい目に遭って、どうして笑ってるの?

まるで理解できない。

私は震える声を抑えることも出来ないまま、瀬里に尋ねた。

「瀬里、どういう事?……どうして?あの狼達は何?どうして狼なのに喋るの?意味分かんない。それに、あの翠狼って狼は……」

瀬里が苦しげに私を見た。

「あの、藍ちゃん……」

「瀬里、瀬里は律の暗示にかかってたんだよね?なのになんで、」