GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

瀬里が叫び、私は信じられない思いで息を飲んだ。

だって瀬里が翠狼と叫んだ相手が、ヴァンパイアを蹴散らしながら唸り声を上げた大きな大きな狼だったから。

嘘、でしょ?!

なによ、これ。

翠狼って、翠狼って……!

息が止まりそうになる私と、翠狼という狼の視線が絡んだ。

翡翠のように鮮やかで深みのある真緑の瞳。

あなたは……あなたは……!

先に眼をそらしたのは狼の方だった。

「凰狼(おうろう)!清雪を逃がすな!かかれ!」

翡翠の瞳が一際強く光った。

「任せろっ!海狼(かいろう)、雑魚どもを始末しろ!」