GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

反射的に床を見ると、瀬里の手にあった筈のデキャンタが粉々になり、床がキラキラと光っていた。

瀬里、なんで……?!

心臓を掴み上げられたような衝撃が全身を駆け抜けて、私は腕を強く掴まれた。

「瀬里!お前まさか……!」

怒りを含んだ律の声を、瀬里がかき消した。

「藍ちゃん、こっち!」

瀬里……!

虚ろだった瀬里の眼が、光を取り戻していて強く私を見据えていた。

どうして、と訊く間なんか無かった。

立て続けにガラスが割れる音とガタガタと何かが倒れるような音、それに獣の唸り声が教会の中に響き渡り、私は無理矢理瀬里にしゃがまされた。

「翠狼っ!あれが清雪よ!」