瀬里の事を私が決めるなんて彼女の意思を無視しているみたいで酷いとは思うけど、これが一番いいと思うんだ。

儀式に瀬里を連れていかなければ危険は減ると思うし。

だって私の血が手に入った後にわざわざ瀬里を狙わないと思うから。

だから凄く迷ったけど、私は瀬里が律に暗示をかけられていることを、雪野一臣に話す決心を固めた。

今考えると、私は酷い人間だ。

律を好きで、嫌われたくないからと言って、律が瀬里に暗示をかけた事実から眼を背けていた。

瀬里より……律を選んだんだ、私は。

私は以前教えてもらった雪野一臣のメアドへメッセージを送った後、良く晴れた夜空に浮かぶ満月を見上げた。

瀬里、ごめんね。本当にごめん。

玄関を出ると振り返り、しばらく自分の家を眺めた後、私は律との待ち合わせ場所へと向かった。