黙ってこちらを見る雪野一臣に、私は極力平静を装って続けた。

「食材を買いすぎちゃって」

なのに、言い終わる前に声が震えた。

ヤ、バい……。

こんな姿見られたくない。見られたら律との破局がバレてしまうもの。

だから急いで雪野一臣に背を向けようとしたのに。

「っ!」

瞬間、身体がビクンと跳ねた。

「な、に」

私の腕を掴んで引き寄せた雪野一臣の瞳が真っ直ぐこちらを見ていて、思わず息を飲む。

「ちょっ、離」

「大丈夫か?」


『大丈夫か?』


雪野一臣の言葉が胸の中で響いた。