それにお客さんにコーヒーを淹れてもらうなんて、凄く変。

ソファからこちらに歩を進める雪野一臣を見て、私は首を横に振った。

その時、彼と食事を作ったのを不意に思い出し、私は思わず言ってしまった。

「……お礼に私に淹れさせて。それに、もし朝ごはんがまだなら」

しまったと思ったけれど、もう言葉は取り消せなくて。

「あの……私は食べれないけど、雪野さんの朝食を」

ちょうど今、冷蔵庫には食材があった。

野菜もお肉も、卵だってある。

他にも色んな食材を買ったばかりだ。

……律に何か作ろうと思っていたから。

冷蔵庫の中の水を取り出す度に、律のために買った食材を見るのは辛すぎる。

捨てる勇気はないけど……こんなの、早く無くなればいい。